読んだ本 傘寿まり子 おざわゆき/著 [読書]
まだ生きててごめんなさい…「まり子80歳、今日家を出ます」
作者おざわさんの前作「あとかたの街」、表紙の絵を観て「紫電改の鷹」が頭に浮かび、なんかなつかし~と買ってしまいました、なぜでしょうか。
太平洋戦争末期名古屋大空襲の下、戦禍の大波に飲み込まれ不条理な世界を、逞しくも健気に生きる13歳の女の子のお話でした。
今回の作品は、傘寿の小説家幸田まり子が先立たれた夫と共に築いてきた、潰えの棲み処となるはずの手狭な4世代同居の家にいたたまれなくなり、子と孫に明け渡し家を離れるという設定です。
今この時代の不条理を、逞しくも健気に生きる80歳のキュートなおばあちゃん目線のお話です。
さりげなく創り込まれた魅力的な人物像、不条理をサラッと漫画チックに切り返す理知と精神力。
あいくるしい主人公への共感、一気に物語世界に引き込まれます。
還暦過ぎの爺完全に手玉に取られております、作家さんの技量に敬服致します。
公的支援無しでは存在できない後期高齢者が、これからも増え続けると思います。主人公の健康体力経済力は理想に過ぎるとは思うものの、まあ漫画ですしそれを言っちゃあ御仕舞いよというところで。
この自立自尊あるがままの後期高齢者像は、4回目のはたちの青春をどう楽しむかという設問の、メルクマールとなるのではないでしょうか?
それにしても「ハリスの風」「茜ちゃん」??等のタイトルが頭に浮かぶのは何故でしょうか?!
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