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読んだ本 #4 糖尿なのに脂質(あぶら)が主因 消費の多い数種の植物油脂の微量成分が問題の核心 [読書]

糖尿なのに脂質(あぶら)が主因.png
何故問題の核心が、脂肪酸組成ではなく微量成分となるのでしょうか。

 

従来より癌や心臓病、脳卒中、肺炎・気管支炎などの炎症性の病気を予防するためには、リノール酸(オメガ6)群を減らし、α‐リノレン酸(オメガ3)群を増やすことが重要であると、日本栄養脂質学会では説明しています。


長期の投与で油脂の評価を得る研究例として、高血圧で脳卒中を起こしやすいSHRSPラットに各種の油脂を与え、寿命(平均生存率)を調べた極端な長期研究が行われています。
カノーラ菜種油、月見草油、大豆油、しそ油、エゴマ油、魚油、を用い普通食に10%の割で油脂を添加した餌を、離乳時から与え生存期間を調べます。
上に並べた順で生存率が低い(生存期間が短い)という結果になっています、オメガ3群の多い油がオメガ6群の多い油より生存率が高いという結果でした。


以下本書95~98ページから一部引用します。

引用開始
カノーラ菜種油はリノール酸が22%、α‐リノレン酸が11%なので、大豆油(リノール酸が53%、α‐リノレン酸が8%)より生存期間が長いと予測されたのですが、予想に反しカノーラ菜種油は大幅に(4割ほど)生存期間を短縮しました。
飲料水として1%の食塩水のみを与えますと全体に生存期間が短縮しましたが、大豆油とカノーラ菜種油の差は再現できました。この寿命短縮作用には容量依存性があり、餌の2.5%(エネルギーの6%)ほどまでカノーラ菜種油を減らしても、まだ有意な寿命短縮活性が認められました。日本人の脂肪エネルギー比率は若者だと30%に近づいていますので、6エネルギー%という量は、超大量ではないと言えます。
概算すると、日本人の摂取油脂[27エネルギー%]の半分強が植物性であり、その4割以上がカノーラ菜種油です。
大豆油はこの試験で安全な方に属しますが、大豆油を部分水素添加した水添大豆油も、また水添したカノーラ菜種油も、寿命を異常に短縮しました。
カナダ健康省でもこの結果を確認するとともに、オリーブ油やコーン油にも同様の寿命短縮効果が有ると報告しています。そしてカナダ側研究者は、大豆油由来のステロール画分に寿命短縮作用があると報告しましたが、その活性は強くありません。
この寿命短縮活性が油脂中の植物ステロール以外の微量成分の効果を反映していることは、次のような観察から明らかです。
(ア)脂肪酸組成では説明できない
(イ)菜種油を加水分解して得られる遊離脂肪酸画分には植物ステロールは含まれているが、寿命短縮活性が認められない
(ウ)各種植物油の植物ステロール含量では説明できない
(エ)炭酸ガス超臨界法で得られる少量の画分では、脂肪酸組成はかわらないが、寿命短縮効果はなかった
などです。
これらの油を雌親から与え、仔の離乳期より親と同じ餌あるいは異なる餌を与え、仔の平均寿命が測定されました。すると親の食べた餌が仔の寿命に影響を与えることが分かりました。カノーラ菜種油中の有害成分は脂溶性であり、臍帯血や母乳を介して仔に伝わったと解釈できます。
死因としては血小板の減少、脳出血の促進、腎障害などが認められました。
他にカノーラ菜種油と大豆油の比較をした研究がいくつか報告されています。たとえば、カノーラ菜種油は赤血球の抗酸化酵素のレベルを下げ、コレステロール値や8‐イソプロタン(炎症関連物質)のレベルを下げます。
ただし、これらの結果とカノーラ菜種油の毒性、を関連づけて説明することはできていませが、コレステロール低下剤のスタチンの効果と非常によく似ている点が注目されます。
以上引用終了

大豆油に比べ、ω‐6/ω‐3比の低いカノーラ油の方に寿命短縮効果が強い事から、脂肪酸の組成とは別の要因が有ると考えられる、上記(ア)。
カナダの研究者による植物ステロールによる寿命短縮作用の説を、(イ)(ウ)(エ)で否定しています。


つまりカノーラ油、オリーブ油、コーン油、水添大豆油、水添カノーラ油等の植物ステロール以外の微量成分による寿命短縮作用と考えられることとなります。
更に動物実験で使用された油脂の量は、日本人の摂取量との比較で、植物油脂の4割以上がカノーラ油であることからすると、多きに過ぎることは無いということになります。


脂溶性で二酸化炭素に溶けず加水分解を受ける、植物ステロール以外の微量成分が、本書の7章の1で12ページを費やし”スタチンは心臓病を予防せず、むしろ促進する”で説明するところの性質と、非常によく似ているとしています。


もしこの微量成分が確定され、人間にも作用する事が確かめられれば、天地をひっくり返すような騒動になるのではないでしょうか。我々が日々、後々に影響するところを無自覚にかつ逃げようもなく、大量に口にしている植物油脂の性質を明らかにするための研究の強化に、人物金を動員すべきではないかと思います。特定の結果を期待する紐付きのお金ではない資金を、そのような資金とは無関係の研究者に与え研究していただくのが筋と思います。


糖尿病とその合併症の発生を抑えることができれば、その経済効果は計り知れません、このまま見過ごされて悪しき影響が累積し続ければどれ程の不幸・経済損失が生じるでしょうか。


金銭的なバイアスが入らないクリアな心眼で、現象の理解と解釈の閃きを体系化させ提示するという、極めて稀な条件と能力を備えた科学者がどれほど存在し得るでしょうか。


この稀有な書物・研究の内容が、追試確認深化発展されるよう期待します。




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