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#1名古屋城本丸御殿 [その他]


2年越し念願かなってやっと、ご対面。


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上、釘隠しです、黄金の国ジパング。緻密微細どれほどの時間手間が費やされているのでしょう、これを屋外雨露に晒しますか・・・。

下、梅の間、将軍接待役の尾張藩上級家臣控えの間、30畳。松竹梅で三番目に偉い人達に、晴れの舞台気合い入れて行けよ、という意味でしょうか。


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事前に好事家のレクチャーを受けました。

玄関から最奥の上洛殿への経路を横軸、権威のグレードを縦軸にとり、装飾の変化を観察することになりました、リニアか2次かlogか。

三代将軍家光の上洛に合わせて上洛殿が増築されましたが、豪華豪奢華美極まっております、欄間一枚で庶民の家が2軒建つ?と思いました。

日光東照宮まだ観ておりませんが、何となく想像できるようになりました。

先ず外観です。


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傘をさしておられるのが信長様です、「この奥も観覧なされよ」と先導なさいます、もったいなく畏れ多いことでございます。

上の写真右側手前が表書院の南面、下の写真右側が同西面。


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上の写真左が上洛殿。

下が湯殿書院、一之間、二之間、上段之間、湯殿と、お風呂だけの使用目的で四室構成、将軍専用。

ちなみに上洛殿は江戸時代には2回だけ使われたそうです、本丸御殿も初代藩主義直が建造から5年後に二の丸御殿に移った後は、将軍専用開かずの御殿でした。

明治で体制が変わった後は皇族方の宿舎、離宮として活用されたそうです。

本丸は維持費が多く掛かるため保存さる例が少なく、貴重希少な復元です。

名古屋の繁栄の時代を江戸平成と後世に伝える、文化芸術工芸技巧建築技術の結晶として、多くの人を末永く楽しませることでしょう。


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写真下、北面中央が対面所、右直交部分が孔雀之間と上台所。


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上、玄関車寄せ。

下、玄関の襖絵、猛獣がお出迎え、「苦しゅうないちこう寄れ」とはならないようです。この絵だけ煤けております、複写でしょうか。


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玄関二之間 写真上下

虎と豹、当時豹は虎の雌バージョンと思われていたそうです。

天井は竿縁天井、欄間は筬(おさ)欄間、安直な仕様です。


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玄関一之間 写真上下

床の間や違棚が在り二之間よりも格が上がります。


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表書院三之間 写真上下

当時高貴な動物とされていたじゃ香猫が描かれています、猛獣から上品な獣に格上げされました、季節は初夏の設定。

欄間の意匠はあまり変わりませんが、高さが伸びています、玄関より天井が高くなりワンランク上。

本屋の昔話に突如移ります。

婦人誌のWITH・MORE・SAYなどが主流で結構な数がさばけていたころ、ファッショナブルで上質なライフスタイルを売りにする雑誌が、新たな購買層を求めて80年代に相次いで創刊されました。

バブルの時代、あぶく銭やそのおこぼれに預かった富裕層のニーズに応え、ワンランク上の文字が表紙に恥ずかしげもなく踊っていたのを思い出します。

J・Jが不定期刊になるそうで時代の移り変わりを感じます、Can,Can・RAYなどはどうなっているのでしょうか。

桝に組まれた格(ごう)天井となり複雑さが増しました。


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表書院二之間 写真上

二之間東側の面で秋から初冬の図柄、西面の写真がありませんが松と鳥冬の薔薇。

西から東に季節が進みます。

獣から鳥へと品格が増し、上位の人の居場所を飾ります。


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表書院一之間 写真上下

桜と雉で春になりました、西面(下の写真)には祥の印白雉が描かれ、その先の藩主を寿いでいるかのようです。

襖の空いた中央部に見える松は、表書院上段之間の床の間です、上段の間は床が一段上がっていることが解ります。

表書院は藩主が来客や家臣と謁見する、公式の場所。


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写真下 表書院一之間の天井

格天井の枠の中に入れ子で格子組が入り、複雑な構造となっています。


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表書院上段之間

写真上、帳台構(ちょうだいがまえ)梅とベニジュケイ、キジ科の鳥で日本に居ない動物を配するのは、広い世界との交友や知識を現し権威を象徴となります。

精緻な錺(かざり)金具は、無駄な抵抗はやめなさいと、強力な威圧感です。

天井は更に高く折上小組格天井となっています。


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常緑の松と春の梅、藩主の繁栄健勝を顕示しています。


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対面所納戸一之間写真上、二之間写真下

納戸は物置ではなく控え待合の間だそうです、二之間が家臣近親者、一之間は藩主の身づくろいのための場所。

天井は竿縁控えの間なので簡素です、障壁画は山水花鳥で柔らかで穏やかな意匠、威圧するのではなく優しく包み込む感じです。

金箔が無いのですが、絵の具に金粉が含まれこちらの方が格上だそうです。

一之間は切腹の間とも言われ、いざとなるとここが使われるのでしょうか。


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