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読んだ本 65歳からの誤嚥性肺炎のケアと予防 大谷義夫/著 [読書]

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誤嚥性肺炎という単語を間々耳にするようになりました、2,3年前からすると格段に増えて来ました。

誤嚥性肺炎に関して解りやすそうな本を探してみました、著者は池袋で呼吸器に専門性を置いたクリニックを営む大谷義夫氏です。
医療資源や社会保障の原資の不足からでしょうか、尊厳死の選択肢が日本呼吸学会のガイドラインで出て来ました。
誤嚥性肺炎を予防出来れば寿命が10年延びるそうです、健康寿命を延ばすため研究されてみてはいかがでしょう。
親御さんをお持ちの方も、親御さんのQOLを永く良好に保つため、本書の予防に関する情報を役立てられる事をお勧めします。
発症された方のケアに関しても、葉酸摂取の為のレシピや日常習慣のチェックポイントなど、たいへん解りやすく紹介されております。
本書のキモは不顕性誤嚥を世に知らしめ、対策と予防を啓蒙する事と感じました。

以下本書から抜粋要約加筆

*究極の選択:希望すれば治療はしない
2017年4月に日本呼吸学会から、繰り返す誤嚥性肺炎・終末期肺炎については「患者・家族が希望すれば治療はしない」との内容を含んだ新診療指針『成人肺炎診療ガイドライン2017』が発表されました。
特に終末期の患者さんとそのご家族にとっては、これ以上の治療をつづけるかどうかという究極の選択を、しかも喫緊に迫られることになります。

*大量消費させる医療・社会保障資源
医療費の増大を懸念するあまり、一部に高齢者の健康志向、長寿志向を批判する向きがあるのは残念です。医薬品の過剰投与、人工栄養の過剰補給は、病院・医師側の責任ともいえるのではないでしょうか。

*誤嚥性肺炎は防げる
介護する人が食べ物の飲み込み方のコツを知っていれば、または誤嚥性肺炎を予防する知識があれば、高齢者の誤嚥性肺炎は防げるのです。

*9割の人は持病では死なない
がんで入院→栄養障害→免疫が低下→誤嚥性肺炎などの感染症で死亡する人が8割以上、緩和ケアの専門家、藤田保健衛生大学医学部外科・緩和医療講座の東口高志教授の報告。
高齢者で問題となる肺炎の多くは、自分の唾液を知らないうちに誤嚥する、つまり不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎です。これを予防することができれば、日本人の寿命は10年延びるといっても過言ではないでしょう。

*肺炎球菌ワクチン
日常生活で罹る肺炎の約30%が肺炎球菌性の肺炎。
肺炎で亡くならられる方の96%は65歳以上、早期予防接種を厚労省も推奨。
多糖体ワクチンと結合型ワクチンの両者を接種すれば、広い血清型の肺炎球菌をカバー。多糖体ワクチンは5年以上経過すると免疫記憶が低下再接種を考慮。
高齢者の肺炎は、負のスパイラルで次第に重症化 : 誤嚥性肺炎→日常生活動作の低下→体力低下(臥床している時間が長くなる)→嚥下機能の低下(飲み込む力の低下、セキ反射の低下)→誤嚥性肺炎

*肺炎が悪化しやすい人
糖尿病の患者、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者、脳梗塞の患者、腎臓病の患者、気管支喘息の患者、寝たきりの患者、免疫不全の人・免疫抑制剤を使っている人、喫煙者、中耳炎・副鼻腔炎の患者、免疫状態が未熟な小児、
糖尿病の患者 : 好中球は細菌を排除する機能を持つ白血球で、糖尿病で血糖値が高くなると、好中球の機能が低下して、細菌にやられて肺炎を発症しやすくなる。肺炎になると糖尿病が悪化して、好中球の機能低下、さらに肺炎の悪化と悪循環に入ってしまう。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者 : 気道の炎症と肺胞の破壊が混在するため、タンも多くなり、病状の進行とともにウイルス、細菌による感染、肺炎を合併しやすくなり、急激に悪化することがある。COPDが進行すると、食欲低下、やせ、活動性低下などから栄養状態不良となり、さらに肺炎を合併しやすい。COPD:タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露するとで生じる、気管支の炎症狭さく、及び肺胞の炎症破壊。
脳梗塞の患者 : 大脳基底核は脳梗塞を生じやすい部位。その障害はドーパミン産生低下を介して、嚥下反射やセキ反射を低下させる。嚥下反射やセキ反射の低下から、誤嚥、さらには誤嚥性肺炎を生じ、その後も発症を繰り返しやすくなる。
寝たきりの患者 : 寝たきりになると、筋力の低下などから、嚥下能力が低下するので、誤嚥および誤嚥性肺炎のリスクは増大しやすい。高齢者では体力が落ち、さらに寝たきりの状態は長引き、再び肺炎のリスクが高まるという悪循環になりやすい。

*顕性誤嚥より不顕性誤嚥が問題
顕性誤嚥 : たべものや飲み物を誤嚥して「むせること」、のどの筋力低下が主原因。
不顕性誤嚥 : 睡眠中口腔内の雑菌を含む唾液や胃酸が気道に流れ込んで、誤嚥していることに本人が気が付かない。高齢者のMRI検査で、高率で認められる小さな脳梗塞(ラクナ梗塞・動脈硬化が原因)が最大のリスク。

*誤嚥性肺炎のリスクを低下させる3つの予防対策
①正しい口腔ケア : 口腔内は常に不清潔で雑菌だらけ、毎日の歯磨きをおろそかにしない、歯石を取ってもらうなど定期的に歯科を受診。
②動脈硬化の予防 : 「小さな脳梗塞」は、別名を無症候性脳梗塞といいます。大脳基底核にある脳血管にこれが起こると、肺炎になりやすくなります。
③葉酸の補給 : 葉酸が欠乏するとドーパミンの産生が低下し、セキ反射機能や嚥下反射機能の低下が起こる。嚥下・咳反射を促すサブスタンスPの減少がドーパミンの減少で発生する。


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65歳からの誤嚥性肺炎のケアと予防 法研 大谷義夫/著

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