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読んだ本 強いAI・弱いAI 鳥海不二夫/著 [読書]

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著者は「AI研究のハブになりたい」という、合コンの常任幹事あるいはお見合いの仲人の様なポジショニングを目指す、ユニークな研究者です。

本書では、強いAI:(ドラえもんなどにイメージされる意識や自我のようなものを持った人工知能)はまだ当分は実現せず、ましてその暴走について心配する必要は全くないと結論します。
さらにはどういった方向で研究を進めれば、自我をもって行動する強いAIができるのかすら、まだわかっていないというのが実情だそうです。


9+1の超絶ハイスペックな知能の対談を、私のようなロースペックにも何とか理解できるようにと書きくだした労作です。
AI業界の今日的現場感覚を広く開陳し,それぞれの専門領域の昨今、さらに未来を見通すストーリーを30ページ足らづに圧縮した本書を、さらに端折って紹介することに困難を感じます。
そこで、最終章トリで登場する中島秀之氏が予測する、近未来社会に関する記述を引用したいと思います。


「これまでの人類の社会構造をソサエティー1.0から4.0までの四つの段階に分け、今後起きるであろう大きな変革後の社会をソサエティー5.0としています。ソサエティー1.0は狩猟採集社会。2.0は農耕社会。3.0がエネルギー革命による工業社会。現在は4.0の情報社会と位置付けられています。
この、人類の大きなか革新が発生するまでの時間を考えると、1.0は人類が誕生してから農耕が生まれる前までですから、少なくとも百万年とか二百万年というオーダーです。農耕が始まったのは、研究者によって違いますが、だいたい二万年前から一万年前。工業社会になったのは数百年前で、情報社会は数十年前からといったところでしょうか。次の変革までの時間が、1桁から2桁少なくなっている流れから想像するに、ソサエティー5.0までの期間は数年間といったところでしょうか。そうすると、数年後か十数年後かにはソサエティー5.0の時代が訪れて、それからは数か月レベルで次の社会変革が発生する。そう考えると、2030年にはソサエティー5.0のさらに次の社会になるということですから、世の中は想像できないぐらいに変化している。
・・・・・・AIが世の中で活用されるようになれば、仕事の形も大きく変わるでしょう。すでに変革は始まっていますが、サラリーマンが会社に出勤する必要性はほとんどなくなるでしょうし、肉体労働のようなものはロボットに置き換わっていく。介護などもロボットが十分に対応できるようになる。販売もネットと流通で間に合うようになるでしょうし、流通も自動化が可能です。
生産性が著しく向上し、多くの労働がロボットなどに置き換えられるようになれば、働きたくない人は働かなくてもよい時代になるかもしれません。仕事がすべてなくなるということはないでしょうが、仕事そのものが少なくなっても、十部な生産があってこれが配分されさえすれば、ほとんどの人が働かなくても生きられるようになる。ローマ帝国の時代のローマ市民のようなものですね。
ローマ時代は、貴族は働かない。働くのは奴隷で、生産物は外部の植民地からもたらされる。この奴隷と植民地が、ロボットとAIに置き換わるわけです。現在は、仕事をしないと収入が得られず生きていけませんが、未来ではそういった認識は古いものになるかもしれません。
また、まったく仕事がなくなるということはないでしょうし、そういう不安を持つ必要はないと思います、極端な話、人が不要になるというような本末転倒な話にはならないでしょう。
・・・・・・AIやロボットがどれだけ進歩したとしても、それはあくまでも人間の道具としてのもので、その構図に変化はないと思います。」


2030年私の脳が正常に機能しているかどうか怪しいところがあるのですが、指数関数的にスピードアップする大変革のこれからを、覗いてみたいとは思いませんか、ワクワクしてきますよ。


人とAIの差を短く結論したいのですが、本書ではなくお店に来るプロフェッサーの説明では、AIは入力がないと出力が出せない、人間は何もないところから想起し出力できる、のだそうです。




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読んだ本 強いAI・弱いAI 丸善出版 鳥海不二夫/著

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